概要
虐待や経済的な事情などを理由に、親と暮らせない原則18歳未満の子供らが生活をする施設。
20人以上の大規模施設が40%、12人以下の小規模施設が30%を占める。
大規模施設は一つの大きな建物の中に、一つの大きな玄関、食堂、浴室などがあり、子どもたちの居室は、個室から8人部屋などに分かれている。生活の管理がしやすい反面、プライバシーが守られにくい、家庭的雰囲気が出しにくいなどの問題がある。
子供への手厚いケアのために、小規模化・より一般家庭に近づける取り組みが進められている。
どんな子供がいるのか
1歳以上18歳未満の子供。18歳で退所となるが、場合によっては20歳まで延長できる。1歳未満の乳児は乳児院へ入所する。
「保護者の事情で監護を受けられない」「保護者の元で生活させるのが不適当な状況にある」と児童相談所が判断した児童が入所する。
現在は孤児は少なく、親はいるが養育不可能になったため預けられている場合が圧倒的に多い。中でも、虐待のため実の親から離れて生活をせざるを得なくなった児童の割合は年々増加している。
子供たちの生活
- できるだけ一般家庭に近い生活になるよう工夫されている。施設から毎月お小遣いをもらう。
- 高校生になると携帯をほしがる子供が増えるが、料金も自分のお小遣いやバイトから払う必要があるため、職員と相談する。
- お花見やスポーツ大会、餅つきや大掃除のような年中行事のほか、班別外食会、お誕生日会などが随時行われる
- 善意の物資寄付がたくさん届く。個人から企業まで。(まとめサイトより)
- 服はぽんぽん買ってもらえるわけではないので、物持ちを良くしないといけない。(まとめサイトより)
子供たちの進路
入所する子どもの就職大学・専門学校進学率は11%程度(全国平均の1/4)。児童養護施設出身者向けの奨学金がある。
高校卒業後は74%が就職する。
退所後はおおまかに三種の道がある。
「世話になったんだから大人になったら援助しろ」のような義務はない。
・家庭に帰る
児童相談所と連携して親への支援を行いつつ、週末や夏休みなどに子どもを一時帰宅させたり、施設内に設置されたアパートを模した作りの部屋で数日間一緒に生活をさせたりして、様子を見ながら、「家庭復帰」を進める。
引き取るのは親権者であっても難しい。
・措置変更で別の福祉施設に移る
・自立する
18歳から完全に自活しなければならない。
また、家を借りるにも、就職をするにも、携帯電話の契約をするにも保証人が必要。親を頼れない子どもたちのために、出身児童養護施設の施設長 が保証人になることもあるが、子どもが家賃を払えなくなったりした 場合の保証は、施設長個人が行わなければならない。
職員
施設では児童指導員や保育士、ソーシャルワーカー等が働いている。
職員は日勤や宿直の交代勤務。1人の職員が同時に十数人の子どもたちの生活の世話をし、毎日の様子を記録し、学校行事に親代わりとして出席することになる。
2012年に法改正があり、小学生以上の子ども5.5人に対して1人の職員が生活の世話をすることになった。
児童施設で起こる問題
過重労働
24時間で子供のケアにあたるため、労働基準法では割り切れない。職員の3年離職率は54%。
施設の小規模化、職員増員が求められている。
職員からの暴力
1995年に「恩寵園事件」が起こった。児童相談所に対し匿名の告発があり、児童への暴力・強姦が日常的に行われていたことが発覚。
昔は体罰もあったが、現在は厳格に禁止されており、児童間の暴力のほうが問題化しているとみえる。
児童間の暴力
17年度までの5年間に2,000件あまり起きていた(NHK調べ)
年長の子供から年下の子供への、性暴力や身体的な暴力が多くを占める。
背景には、親から暴力を振るわれていた「暴力の連鎖」も存在する。
里親
里親への委託率は2割弱にとどまる。国は16年の改正児童福祉法で、里親や特別養子縁組などによる「家庭養育優先」の理念を示した。
里親養育下の子どもの大学進学率は例年20%程度で、施設を10%上回る。大学進学率は里親家庭の方が高い。
参考文献
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全国児童養護施設協会パンフレット「児童養護施設」「児童養護施設のお仕事」
Wikipedia「児童養護施設」https://ja.m.wikipedia.org/wiki/児童養護施設
Wikipedia「恩寵園事件」https://ja.m.wikipedia.org/wiki/恩寵園事件
NHKニュース「児童養護施設 暴力を断ち切るには」https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2018/09/0905.html
日本経済新聞「虐待の傷も受け止めて 児童養護施設で育つ子供たち」
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO40008390V10C19A1000000
認定NPO法人 ブリッジフォースマイル https://www.b4s.jp
※まとめサイトからの引用には注釈を付けています
https://matome.naver.jp/m/odai/2139086212652497101
https://matome.naver.jp/m/odai/2136662405988588501
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