右下の親知らず編
痛みはいつも突然だ。
6/28に奥歯の痛みを感知。6/30ごろには、『親知らず』という人体の欠陥システムからくる痛みはもはや耐え難いものとなっていた。耐えきれず歯医者をネット予約。その段階では今週末に見てもらえるとのことだったのに、翌日電話がかかってきて「来週になります」と言われてしまった。
受診までは痛み止めでごまかすしかない。歯痛のために夜中に飛び起きるという珍事もあったが、筆者はこんな時のためにメンクリ処方の睡眠薬を大量に持っているのだ。歯ごときに睡眠を邪魔させてなるものか。
しかしながら7/4、歯痛で起床。もはやスマホのアラームよりも優秀な目覚ましといえるだろう。
7/6、ついに駅前にある歯医者へ。
筆者は歯医者に恐怖はない。むしろ歯を削られながら居眠りしかけてしまうほどだ(眠りません)。しかし今回ばかりは参った。
レントゲンを撮ったが、奥歯の根っこが下歯槽神経に触れている可能性があるということで、さらにCTを3枚撮った。
「右下の親知らずが斜めに生えてきていて、炎症が起きていますね。歯科矯正も検討した方がいいと思います」
歯茎から露出している部分を取ってから、歯茎を切開して根っこの部分を取り除くらしい。
筆者は抵抗しなかった。予感していた。何を隠そう、親譲りのガチャ歯だ。看護学生の弟いわく、「歯の生えている本数は正しいから顎が小さすぎる」らしい。別の病院でも親知らず+少なくとも4本は抜歯しなければいけないと宣告されていたので、抜歯にはもう慣れるしかない。その日は炎症を抑える薬を塗ってもらって帰宅した。
しかし7/13深夜、痛みが憎悪。「ゆゆっ! さきゃえのはぐきさんにおやしらずさんがはえてきたよ! 智歯周囲炎さんはゆっくりできないよ!」とツイートする。20代にもなって深夜にtwitterで親知らずをゆっくり口調で実況中継する大人になってしまった。親が見たら泣くだろう。親からの遺伝子でガチャ歯になったので泣きたいのはこっちなのだが……
7/21、ついに抜歯当日。
ここまできて恐怖心が喉元までせりあがってきていた。数年前、当時のジャンルでフォロワーが親知らず抜歯をTwitter実況していたことを思い出す(どんな思い出だよ)。Twitterやカクヨムで抜歯レポ漫画を読みながらはやる心を落ち着ける。大丈夫。自らの人体を破壊することでマゾヒズムを一層深く理解でき、創作にも活かせるはずだ。
やがて狭い個室に通され、院長がやってきて準備が始まった。まずは麻酔。筆者は麻酔をかけられるときに手をつねるくせがある。痛みを痛みで相殺するのだ。
抜歯が始まった。目を閉じながらだったし、麻酔をかけてもらっていたから痛くはなかった。むしろ麻酔が切れてからが痛みの本番だろう。だけどゴリゴリバキ!っていう不穏な音がずっと聞こえていたので、恥ずかしながら震えていた。椅子の手すりを握り締めながら、「この人らは歯を弄ることでお金もらってるプロなんだから安心しなさい」「恐れるから恐ろしいんだ」「痛みとは快楽なんだ」と自分に言い聞かせていた。
ゴリバキ音が一旦収まり、(ああ終わった……でも言うほどしんどくなかったなw)とほっとしていたらゴリバキ第二弾がスタートした。上げて落とすな。
ちいかわのごとく「ワァ……(´・ω・`)」と縮こまっていたら「終わりましたよ」と言われ、椅子が起き上った。あっさりとした別れだった。抜歯直後にうがいをしたが口が閉じられずうがい薬を少しこぼしてしまった。院長がなにがしか薬の説明をしてくれたが、放心状態なので、聞いているようで聞いていない状態になっていた(後で薬の説明書を読みました)
帰りにマツキヨで冷えピタとエネルギーゼリー1箱を購入。口が開けられないのでエネルギーゼリーを吸う。
3時間くらい経ったら麻酔が切れてきたので、もらったソレトン3錠ぶちこむ。のだが、頓服6錠・抗生物質2錠、胃薬1錠・精神安定剤3錠、睡眠薬1錠と医療系課金アイテム6種12錠もりもりボディになっている。その日は腫れをごまかすべく20時に就寝した。
抜歯1日後(土曜日)
- 朝 エネルギーゼリー2つ
- 昼 スティックパン1本、ミニ杏仁豆腐3つ
- 夜 素うどん(筆者は麺類をすすらない人間である)
痛み止めを2回6錠ぶちこんだので痛みはない。頬っぺたがぷっくり腫れていて口を開いたり閉じたりすることができないので、1日中寝こけて過ごす。
抜歯2日後(日曜日)
- 朝:ミニ杏仁豆腐1つ、エネルギーゼリー
- 昼:炒り卵入り出雲そば
- 夜:冷凍エビグラタン、スティックパン2本
痛み止めをぶち込んでいるので痛みはない。1日中寝こけて過ごす。
抜歯した後、ぽっかり空いた穴には血が溜まって『血餅』というゼリー状のかさぶたをつくるらしい。これが形成されなかったり形成後にかさぶたがはがれたりすると、『ドライソケット』という骨剥き出しの状態になってかなり痛むそうだ。どうかドライソケットにならぬよう、お祈りするしかない。
ちなみに本来、飲むゼリーはドライソケットができやすいので控えた方がいいのだとか。まぁ今回は縫合してるし、いいか。
抜歯3日後(月曜日)
- 朝 食べてない
- 昼 スティックパン
- 夜 炒り卵入り出雲そば
そろそろ腫れも落ち着いてきたが、冷えピタを張り続ける。柔らかいものであれば食べられるようになったが、野菜なんかが中々食べられないので口内炎ができてしまった。
一週間後に抜糸。まだ歯茎に穴は空いているが、一応右下の親知らず治療は終了。お疲れ様でした〜。
右上の親知らず編
右下の親知らずを抜いてしばらくしてから、右上の親知らずがチクリと痛むようになった。
痛みはやはり突然だ。
地元に帰省中の8/20午後、親知らずの痛みを感知して市販薬を飲む。三叉神経痛で歯肉だけじゃなく目も耳も肩もキンキンするぅ! ソレトン(前回抜歯時に貰った痛み止め)持って帰ればよかったけど、抜いてないほうの親知らずが痛み出すとか予想できなくない?! 人体、欠陥システム多すぎる。
8/22になると、右上の親知らずの痛みはひどくなり、4時間ごとに市販の痛み止めを飲んでも効かない。睡眠薬を飲んでもなお一睡もできなかった。
仕方なく地元の歯医者にお世話になることに。昨晩から一睡もしないまま8/23の15時半、受診。レントゲンを撮ってもらうと、どうやら右上に虫歯ができていたらしい。
なーんだ智歯周囲炎じゃなくて虫歯だったのかぁ! 前回右下を抜歯した時になるたけ右側を歯磨きしないようにしていたので、その影響かな?
医者「右上の親知らず、虫歯になってますねぇ……神経抜きましょうか」
筆者「あ、いいっすよ(快諾)」
虫歯しいなので神経を抜くのは初めてではないのだが、これがなぜかいつもより痛い。たまらず左手を上げると、
医者「下の親知らずも抜いてることだし、やっぱ親知らず抜歯しましょうか」
筆者「ファッ!? 明日予定があるんですが」
医者「大丈夫です、すぐ終わるしそこまで腫れないと思うので」
前回右下親知らずを抜いた経験から、上親知らずは抜歯しやすいと知っていた筆者。しかもさっき神経抜こうとしたとき結構痛かったので、これはもしや歯医者さん的にも『神経抜くより抜歯の方が楽』なケースなのでは?
筆者「わ、わかりました……抜歯の方が良いようであれば抜きます」
ここで麻酔×2追加。いつかは抜歯になるだろうと思いつつまさか今日抜くとは思わなかった筆者。膝が笑う。でも大丈夫! 怖がるな! 私は親知らず抜歯経験者だ!
10分後。
医者「あとちょっとで抜けますよ〜はい終わりました、ガーゼ噛んで」
ゴリゴリバキバキとペンチ的なサムシングで抜歯され、ガーゼを噛むことに。黒々とした虫歯になった親知らずを見せてもらいました。
抜歯後の説明を受け、その後帰宅して仮眠。なんとか右の歯を抜歯したのでした…