スタバがぼくらを離さない。

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  先日、スタバの都道府県限定フラペチーノを飲んだよ。ヤメチャウマチッウマチッ。

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 コロナ禍にあっても、カフェチェーン業界では多くの企業がしのぎを削っている。コンビニ・マクドナルドのようなファーストフードチェーンがコーヒー業界に参入してきているほか、フルサービス型喫茶店ブルーボトルコーヒーなどの新しいカテゴリも台頭してきた。

 そんな国内カフェチェーン市場において、高い人気を誇るのがスターバックスコーヒーだ。2021年に行われたマイボイスコム(東京都千代田区)の「コーヒーチェーン店の利用」に関する調査では、「好きなカフェチェーン」の一位に名が挙がっている。そんなスターバックスはどのような戦略をとっているのだろうか。

 

 スターバックスはいわゆる四大広告媒体(テレビ・ラジオ・雑誌・新聞)をほとんど使用していないという。フラペチーノのテレビCMをしたことがあるが、効果が出ずにすぐに中止になった。それからテイスティングを続け、客との交流を深めた結果、かれらは「ブランド育成には、広告よりも有効な手段がある」と気づいた。これは必ずしも広告の否定ではない。広告に回すお金があれば、個性的なメニューを増やし、店内環境を充実させ、サービス向上のため従業員を増やす。いわゆるクチコミを大切にした結果、ロイヤリティ顧客が途切れないようになったのだ。

 スターバックスが創業以来大切にしているのは、“サードプレイス”という思想だ。ファーストプレイスが家、セカンドプレイスを職場や学校としたときに、サードプレイスはその中間として居心地の良い体験ができる第三の空間を指す。その空間を作り出すために、店員は顧客との間に何気ない会話を交わしたり、商品を受け取ったときにメッセージを添えたりして、「人の温かみ」「人とのつながり」を演出している。

 もう一つの核は、デジタル化の推進だ。また交通系電子マネーQRコード決済の拡充のほか、デリバリーサービスの導入、オンラインストアでの商品拡充などを行った。その結果、キャッシュレス比率が三割から五割強まで成長した。20年11月末からはモバイルオーダーを全国的に展開している。「事前注文は店頭でのコミュニケーションが減ってしまい、サードプレイス思想に反しているのでは?」という疑念を抱かれるかもしれないが、マーケティング担当者の清水氏によると、混雑時に列へ並ぶ時間がない顧客にスムーズな商品提供を行えるようになり、結果的にそれまでつながることができていなかった顧客ともコミュニケーションを持てるようになったという。

 またスターバックスでは2017年から独自のポイントプログラムとして「スターバックスリワード」を開始している。「マイコーヒーパスポート」という機能では、コーヒー豆を購入した客に対し、購入の翌日に豆のパッケージを模したスタンプを表示する。スタンプの下にメモ欄があるので、そこに顧客自身が味の感想や淹れ方のポイントなどの情報を書き込むことができる。

 マイナビニュースによると、顧客がスターバックスを選ぶ理由は、カスタマイズが可能で自分好みの飲み物を注文できることのほか、接客態度がいいこと、ポイントサービスがあることをあげている。こういった取り組みが、顧客に届いているのだ。

 スターバックスのブランド・マネジメントは評判管理に例えられる。かれらはグローバル企業というアドバンテージを持ちながらも、広告で意図的な、あるいは安易なブランドづくりをしなかった。岩永(2021)によれば、バブル崩壊後の消費者の価格志向は、納得価格志向がみられるという。EDLP戦略(薄利多売)ではコスト削減しか選択肢がないが、スターバックスは値下げしない分品質を追求し顧客体験に投資、ロイヤリティ顧客の強化に取り組み続けている。かれらはこうして強いブランドを生み出したのだ。

 

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 一方競合するコーヒーチェーンにはどのような戦略があるのかを見てみる。今回取り上げるのは、名古屋発の喫茶店チェーン・コメダ珈琲だ。

 コメダ珈琲の強みは二つある。一つは、あたたかく家庭的な雰囲気。郊外型のロードサイドを中心とする立地、木造りの外観、ゆったりした席などで高齢者をはじめ幅広い層からの支持を得ている。

 もう一つの強みは充実したメニューだ。朝の時間帯には、コーヒーなどの飲み物を注文すれば、無料でトーストやゆで卵が付く。こういったモーニングの時間帯は、多くの飲食店が打撃を受けたコロナ禍にあっても酒を中心に据えた居酒屋やレストランのように、自粛を強く求められることがない。また、近年ではコメダ珈琲の軽食メニューのボリュームがSNSで人気を博した。

 この二つのコーヒーチェーンは、どちらも利用者のクチコミを大事にしてロイヤル顧客の獲得を目指している。デジタル展開の一例としてコメダ珈琲はオンラインECサイトを展開しているが、これは既に獲得したロイヤリティ顧客に向けたもので、店頭に来た消費者をロイヤリティ顧客につなげるための取り組みとしてはスターバックスが強い。コロナ禍のあおりや他業界がカフェ業界に参入してくる中でも、チェーン独特のサービスや特徴を浸透させれば、顧客を離さず、売り上げを維持できるのだ。

参考

スタバ森井CMOが語る ブランドの在り方と寄り添い方:日経クロストレンド

売れ続けるスタバが自らに課す「暗黙のルール」 | 食品 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

会員数750万人の「スターバックス リワード」に学ぶ、ロイヤルティプログラムを通じたCX向上:MarkeZine(マーケジン)

戦略ケース コーヒーチェーン競争の行方 進む異業種とのボーダレス化(2018年) - J-marketing.net produced by JMR生活総合研究所

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岩永忠康(2021)マーケティングの理論と戦略